事件後の日常…?
あの事件が終止符を打った2日後。
学園はいつものように平和に過ぎている。
そう、そのはずだったのだ。
ジル、ロフド、テイスの3人は中庭の芝生で昼食中。
「 ロフド、もう傷のほうは大丈夫なの?」
ジルは言った。
ロフドはあの事件の被害者になった。 自分の家に犯人に突如襲われ、ロフドだけ襲いそのまま逃げていった。 幸い、後から駆けつけたジルとザクスの応急措置でなんとか一命を取り留めた。
「 ああ、ほとんど無いぐらいだ。心配かけて悪かったな」
「 それなら良かった」
ちなみに、イリスのほうも驚異的な回復力で予定よりも3日ほど早く退院できた。
そんな姉を持つ弟のテイスは、口に購買で買ってきた焼きそばパンを頬張った。
「 ふぉぐ、ふぉあうふぁふごふぃふふぁ?」
「 テイス…せめて食べてから言えよな」
ロフドが言う。 テイスは焼きそばパンを食べ、さっき言ったのと同じ事を言った。
「 でも、あいつはここにいるんだろ?」
「 う…まあそうだけど…」
テイスの言葉に、危うく飲もうとしていた飲み物をこぼしそうになるジル。
「 別に悪さとかしないから大丈夫だろ?」
「 だろうな、あれだけ痛めつければな」
「 ……だといいけどね」
ジルがそう呟き、飲み物を置いた瞬間。
「 ジルくーん!!」
その声に、とっさにジルは悪寒を感じた。
「 お、噂をすればなんとやら…」
「 だな」
ロフドとテイスはそう言った。
向こう側から、兎型の帽子を被った男子高校生がこちらに向かって走ってくる。
「 ちょ、ごめん…席外す!」
ジルがそう言って立ち上がろうとしたら、その男子に飛び込まれ そのまま倒れこまれてしまう。
「 全くー、ジル君ったらー!探したんだぞ?」
彼はジルを起こし、ジルの腕にしがみついてきた。
「 う、卯月…暇してたんじゃないの…」
「 まさかー!ずっと探してたんだぜ?感謝してくれよなー」
二人の異様なやり取りにロフドは顔を隠し俯く。
「 あれ、ロフド。どうした?」
「 いや、なんであんな奴にやられたかわけがわからねえ…」
そんなロフドを置いて、話が進む。
「 え、い、いや感謝じゃなくて…ちょっとは本性を隠したほうが…ね?」
「 何言ってるんのさ!君みたいな子とかはおいしいのだぞ?」
「 な、何がおいしいの?」
「 描写的に」
「 い、いやぁ!ロフド、テイス!!こいつ!!こいつを止めてよ!!!」
半泣き状態のジルは助けを求める。
しかし、卯月の額の前には黒く光る拳銃があった。
その持ち主でもあるテイスは、黒い笑顔でいた。
「 あのな卯月、限度っていうもんがあるんだぞ?ジルは嫌がっているのだ。さっさと離れて地獄にでも落ちんか、この腐れ野郎ぉぉぉ!!」
トリガーを引き、発射するテイス。 幸い、卯月は間一髪のところを避けている。
「 あ、危ないじゃんか!てか、ここ学校!!そんな危ないもん持っちゃ駄目だって!!!」
そういいジルから離れ、その場から走り去る卯月。しかしテイスはその後をなぜか追いかける。
「 うるせぇ!!お前がさっさと死んでしまえ!!!」
「 死にたくねぇぇぇぇ!!その前にそれをしまってくれ!!!!」
その後ろを見る助かったジル。
「 テイス、やり過ぎだって…ねぇ、ロフド…って大丈夫?」
振り返るとロフドはまだ膝を折りたたみ腕で固定し、まるで落ちこぼれのような状態で座っている。
「なんであいつなんかに…俺、弱者じゃねぇか…」
「 …相当ショックだったんだね」
昼食後、高校側の校舎3階。 皆、昼食を食べ終わったのか廊下で駄弁ったりと自由にしている。
「 えっと…これは、これでいいのかな?」
そんな中を、白く長い髪を揺らしながらミファルはいくつものファイルや書類を抱えながら歩く。
「はぁ…全く、先生もこんな事しなくても良かったのにな…」
ミファルがブツブツと愚痴を吐いていると、不意に横から手が出てきて持っていたファイルや書類を取っていった。 横を見ると、無表情に持っていったセナがいた。
「 びっくりした、いきなり持っていかれるから誰だろって思った…」
「 それは悪かった。丁度、暇で通りかかったところを見たから手伝おうと思った」
相変わらず冷たい声。 それでも彼なりの心の温かさが感じる。
「 これ持っていく。どうせ生徒会室にいくんだろ」
「 うん、ありがと」
ミファルは礼言い、そのまま彼と一緒に歩き始めた。
しかし…
「 刹那さーん!」
何処かで聞いた事のある、いやな声が聞こえた。 それはこの廊下にいる誰もが聞こえるほど大きな声だった。 その声に二人はいやな顔を見合わした。
「 ……セナ?」
「 ……あいつか」
ミファルが後ろを振り向くと、生徒をも圧倒する、ものすごい勢いでこちらに走ってくる卯月の姿があった。
「 あの馬鹿っ!また性懲りも無く!!」
「 …………」
「 さっきはちょっと失敗したが…刹那さんっ!君に俺の愛を!!」
卯月は先ほどジルに飛びついたように飛び込んだ。 しかし相手が相手だった。 セナはそれを避け、卯月は廊下に叩きつけられた。
「 ん、ミファル。さっさと行くぞ」
「 え…う、うん」
卯月を見なかったのかのように、二人はそのままスタスタと歩いた。
「 ちょっと待ったああぁぁ!」
しかし卯月は諦めなかった。
「 なっ!?そこは諦めなよ…」
ミファルがまた振り向き呆れた声で言った。
「 ふっ…俺が諦めると思ったかあぁぁ!!」
「 ただのうぜぇ奴だなっ…!」
セナまでもが呆れる。
「 俺にとっちゃ、最高の褒め言葉だぜ!」
卯月は先ほどのようにまた飛び込んだ。 すると、横の教室から何か分厚いものを投げ込まれ卯月の頭に直撃、卯月はそのまま倒れた。
「 もう誰だよ…こんな分厚い本を投げたの…」
「 あ、すみません」
投げ込んできた教室から出てきたのは、セナの双子の弟であるティーアだった。 数日前にあった頬の傷はすっかりと消えている。
「 ティーア…お前…」
「 ふふっ、ちょっと手が滑っちゃいました」
ティーアの笑顔が、あからさまに怖い。本気で投げたのだろう。
「 いや、なんか逆に助かった。ありがとよ」
「 いえいえ、礼には及びません。後の処理は僕がやっておきますので」
そう言い、ティーアは投げ込んだ本を取り卯月を抱えた。
「 では、また後ほどで。早くしないと、休憩、終わっちゃいますよ?」
「 あ、そうだった。行こうか、セナ」
「 おう」
ミファルとセナは生徒会室へ足を運んだ。
二人を見届けたティーアは卯月を再度抱え込み、踵を返す。
「 ……はっ、ここは!てか、双子の紅耶君じゃないか!君に会えた事にはやはり運命をかんじぐふっ…!」
騒ぐ卯月に鳩尾をうつティーア。
「 少しは黙らないか、このお調子者め…」
ぐたっと倒れきった卯月に吐き捨てる言葉。
「 全く…本当なら少年院でも行っているはずなのですよ…?」
大きなため息をつくティーアをよそおい卯月は顔を上げる。
「 まぁ、いいじゃないか。これで俺らの愛が育まれるならな」
「 喋れるなら立てよ、というかお前とは愛を育む気なんてさらさら無い」
「 嫌だ、立たな…ごめんなさい、立ちます、歩きますって…だからそんな拳あげないでさ、な?分 かってくれよ?な、な?」
このあとティーアが、卯月を自分の能力をまで使って再度懲らしめたのは言うまでもない。
「 学園のほうが多分、大変だと思うのは気のせいか」
「 せやな、あいつを怒る奴なんて相当いねぇから」
「 …誰の事?」
「 「 なんか接してはいけない奴の事( だぜ)」」
今日も学園は平和です!
序章編 終
―後書きという能力―
おはこんにちばんわ!タラニスっす!!
いやはや、ようやく序章でもある『学生事件簿』が幕を閉じる事が出来て嬉しいかぎりです! 本音、ここまで続けるなんて考えてないのですよw
この『 学生事件簿』を読み返すと、つくづく変な構造だったり誤字があったりと後悔ばっかりですなww これからは気をつけたいと思います…
さて、話は本題に入りまして。 序章編が終わり、話は終わるはずだった!…のですが。 どう言う訳か、既に話の続きを作っている途中で、さらにこの後に出てくるジル達の過去編も既に考えていたりと…
「 私、終わる気すらねええぇぇ!!」
と自分でも叫んでしまうほどですね( もちろん、心の中でですよw)
という訳で暇さえあればこの後の続きも書いていきますよ。
ということで次回は現代編。
多分物語の始まりがこれから始まります。卯月なんてまだまだ序の口。
本当の物語の始まりは終わってからやってくるんですよw
てか、本当に卯月はホモで良かったわ。終わりがしっくりくるw
この現代編で新たなるキャラが出てくると、もうそろそろ把握しきれなくなってしまいますが! それでも暇つぶし程度で見てくれると嬉しいです!!
では、また今度の話で会いましょう!
卯月「 やっぱり俺っていじられキャラじゃね?」
タラニス「 うん、まあ頑張れ☆ww」